観光立国・日本をもっとグローバルに。「Google Cloud Next ‘18」で代表・川崎が語ったITインフラ×宿泊業界の未来

Takuroukomatsuzaki小松崎 拓郎

2018/10/09 12:00

Thumnail

四季によって移り変わる景観、いにしえの建造物、受け継がれてきたものづくりの技術、独自に発展した食文化。海外から訪れた観光客がたくさんの魅力を挙げる国、日本。

2020年に東京オリンピックを控え、外国から日本へ訪れる観光客がますます増えていくと言われています。

しかし、彼らが不自由なく観光を楽しめる準備ができているか、と聞かれたら、首を傾げてしまうのが現状ではないでしょうか。
 


エルソウル株式会社 代表取締役 兼 最高情報責任者 川崎文武

 

「観光立国・日本がグローバル化を歓迎して、もっとおもてなしできるようになるためのITインフラを創ります」

エルソウル株式会社代表の川崎文武(以下、川崎)が描くのは、ITの力を活用して海外からの観光客をもっと「おもてなし」できるようになる未来です。

前職でインターネットトラベルコンサルタントを務め、30カ国以上を渡り歩いてきた川崎だから提案できる、日本の宿泊業界にフィットさせたシステム。

「Google Cloud Next ‘18 in TOKYO」での川崎のプレゼンテーションをもとに、ITインフラ×宿泊業界が描き出す展望について説明します。

 

日本の宿泊業界におけるITシステムの導入が遅れている原因とは?

 

2018年9月19日から20日にかけて東京プリンスホテルで開催された「Google Cloud Next ‘18 in TOKYO」は、クラウドの新しい世界を体験できるGoogle主催のイベント。スピーカーの講演や開発者によるデモンストレーションなどのさまざまなプログラムが用意され、1万人以上の参加者が来場しました。

 

 

日本国内のIT企業の中でも1%しか選ばれていない「Google Cloud 認定デベロッパー」となったエルソウルは、今回が初めてのブース出展。

 

 

2日目には、代表の川崎がオープンステージセッション「全てのデータを『使える化』|ホテルオールインワンシステム - ELMETRIX - 」でスピーカーを務めました。テーマは「パソコンレス、音声で宿泊データを操作」です。

ダンスのインストラクターとして欧州やアジアを訪問したり、ベトナムとインドにエルソウルの開発拠点を置いていたりと、積極的に海外へ足を運んできた川崎。

「観光資源が豊かな日本には、たくさんの魅力があります。さまざまな国の文化に触れることで、国内からは見えなかった日本の良い部分に気づけるようになりました」

一方で、前職の楽天トラベルで数万におよぶ宿泊施設のデータを扱いながら見えてきたのは、日本の宿泊業界の課題。進まぬIT化に人材不足が重なり、宿泊施設の現場は日々の業務に追われて「おもてなし」に割く労力が足りなくなっていることに気づきました。
 

 

日々の業務での問題の一つが、データ管理の複雑さ。私たちが宿泊する一部屋に対して、宿泊施設はじつに多様なデータを管理しています。

 


「DB」とはデータベース、つまりアナログで言う宿泊台帳のこと

 

オンライン予約システムの宿泊台帳がサイトごとに分かれていることも、問題の一つ。一部屋ごとのあらゆるデータを載せた台帳を、サイトの数だけ管理する必要があるのです。

このため、ある日の部屋が満室になったら全てのサイトにログインし、一つ一つ「空室」から「満室」に変更する必要があります。これが少しでも遅れたら、ダブルブッキングがおこりかねません。

 

 

これらの複雑な台帳管理に対応できるのは、パソコン操作に慣れている人だけ。パソコンが苦手であったりパソコンを持っていないために、全てのデータをアナログで管理し、さらに料理や清掃をも一人で対応している旅館が少なくありません。

川崎が出会った86歳の男性も、そのような旅館オーナーの一人。いつも首に宿泊台帳をかけて予約の電話に対応していたため、川崎に「私達のようなパソコンもない小さな旅館は、インターネットでどのように販売したらよいでしょうか?」と相談したのです。

これを聞いた川崎がインターネットから旅館の予約をできるようにしたことで、なんと数ヶ月で月間30万円分もの予約が入るようになりました。いかにインターネットの集客力が強力であるかがわかります。

「日本はインバウンドに対する宿泊部屋数が足りません。しかし実際には、存在する部屋数に対してインターネットからリーチできる部屋数が少ないと考えられます」
 

つまり、先ほどの旅館のようにインターネットを活用できず、集客に苦戦している旅館が多いと言えます。現実として、大型ホテルの宿泊部屋数が増加している一方で、小規模な旅館が近年激減しているのです。

 

人間にしかできないことに集中するために、ITを活用する

このような宿泊業界におけるIT化の課題に対してエルソウルが提案した方法が、Google Cloudによる台帳管理です。

「機械にできることは機械に。人間にしかできないことを人間に」

そう考えた川崎は、クラウドを取り入れることでデータと台帳の管理を簡易化しました。
 

 

まずは、予約サイトごとに分かれていた宿泊台帳をまとめ、クラウド上のマスター台帳に限定。これまではサイトの数だけ台帳を確認しなければ部屋のデータがわかりませんでしたが、一つの台帳だけで完結するようになりました。

「リアルタイムで同時に一つのファイルを編集できるGoogleドキュメントのイメージに近いです。一つにまとめた台帳のデータを確認して、部屋が空いていれば「空室」、空いていなければ「満室」。とてもシンプルで、チェックする項目が少なくなります」
 

 

クラウドを使えば予約サイトにログインせずに作業できるので、外付けのシステムと連携することも可能になりました。例えばある日の残室状況を「空室」から「満室」に切り替えたいときは、Google Homeに音声で伝えたりLINEのボットにメッセージを送るだけでタスク完了。

これで「たくさんの予約サイトに掲載したいけれど、掲載すればするほど手間が増えてしまう」という悩みも解決できます。先の例のようにパソコンを持っていない旅館業の方でも活用できるこのシステムが、旅館業の再生、ひいては宿泊可能な部屋数の増加につながるのです。
 

エルソウルだから描ける、ITインフラが整った宿泊業界の未来

 

2017年には2870万人、昨年に比べて19.3%プラスと、二桁の成長率で増加している訪日外国人客数。2020年には年間4000万人に達すると言われています。

一方で、ほぼ確実に減少していく日本の人口。あらゆる業界で人材不足がおこることは避けられません。

このようなデータを見ると、現在も人手不足と言われている宿泊業界がますます追い込まれていくように思えますが、明るい未来を切り拓ける道も残されています。それが、ITの活用なんです。
 

 

エルソウルが考えたのは、クラウドに貯めていったデータを機械学習(コンピューターがデータから学習し、パターンを見つけて将来を予測すること)に活用し、人材不足を解消する未来。

「データフローを整えて機械学習のトレーニングを進めれば、クラウドの活用が人材不足の解消につながるのです」

数時間から数十時間かかっていた経理業務やプライシングを、数分で終えられる機械学習。このように単純労働時間が削減され、人間にしかできない「おもてなし」に時間を割けるようになります。

「それによって、より質の高いサービスの提供、労働コストの削減、顧客満足度の向上、インターネットからリーチできなかった在庫の活用、国内宿泊業界の活性化に繋がるのではないでしょうか」

これらは決して机上の空論ではなく、実現できる日がすぐそこまで迫っているのです。

 


 


右) 同社代表取締役副社長 兼 最高技術責任者 岸 正太

 

「機械が人間の仕事を奪う」のではなく、「機械が人間の仕事を助ける」時代へ。

ITインフラの力を活用して、観光立国日本がグローバル化を歓迎できる未来をエルソウルと一緒に描きませんか。
 

 

(文/菊池百合子、写真/小松崎拓郎)


Takuroukomatsuzaki
小松崎 拓郎

1991年茨城県生まれ。法政大学経営学部 市場経営学科卒業後、2015年に株式会社Waseiに入社。これからの暮らしを考えるメディア「灯台もと暮らし」立ち上げに参加し、現在編集長。2018年よりフリーランスの編集者・フォトグラファーとして活動を開始。「暮らし」を伝える集団「白梟」主宰。オリンパス公式アンバサダー。HP→http://takurokoma.net/

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